「フィーバールーム」はアピチャッポン監督のいわゆる初舞台作品だという。舞台作品と喧伝されているので、女優とかが舞台に立つのかと一瞬思ったが、本人に確認すると、ただの映画です、との弁。しかしもちろんただの映画ではない、驚異の作品である。入場できるのが開演直前といった変則ぶりも、実はネタばれを避けるための工夫で、なるほどと納得する。個人的には、Tadeusz Kantorの「死の教室」なみの強烈さというか。
広告だけみると、Olafur Eliasson 風の光の芸術のような感じかと思ったが、実際共通点もある。ただし体感的には、エリアソンのが美しい花火のような作品だとすれば、アピさんのはほとんど水爆級である。光、霧、雲の競演は、涅槃とも、トリップ体験ともいえそうだが、私はなぜかファーストスター(ビックバン後、初めて誕生した星)ってこんな感じなのか、という感慨にふけっていた。光源のポチ点がそうみえたのである。
ただ注目すべきは、彼の、音に対する感性というか。背景を貫く轟音は、例の横浜美術館出典作品(「炎(扇風機)」)にも共通するが、あれもまた、轟音の中燃える三台の扇風機像がまるで、地獄の業火のように回転していた(なぜか、毘沙門天か、ヒンドゥーのシヴァ神を連想した)。 実際、音はアピチャッポン芸術の根幹のひとつである。「トロピカル・マラディ」の森の(自然界の音の)うるささは、熱帯の村落に住んだものは誰でも知っている。水田など、夜間は蛙の鳴き声がうるさくて寝られないのである。また「光りの墓」の中盤、町全体が眠り込む美しいシーンは、よく聞くと扇風機のような音がベースに流れている、と爆音映画祭にでた知人から聞いた。この音はまるでワーグナーのライトモチーフのように、いろいろな場面で顔をだすが、フィーバールームでは豪雨系の爆音である。
広告だけみると、Olafur Eliasson 風の光の芸術のような感じかと思ったが、実際共通点もある。ただし体感的には、エリアソンのが美しい花火のような作品だとすれば、アピさんのはほとんど水爆級である。光、霧、雲の競演は、涅槃とも、トリップ体験ともいえそうだが、私はなぜかファーストスター(ビックバン後、初めて誕生した星)ってこんな感じなのか、という感慨にふけっていた。光源のポチ点がそうみえたのである。
ただ注目すべきは、彼の、音に対する感性というか。背景を貫く轟音は、例の横浜美術館出典作品(「炎(扇風機)」)にも共通するが、あれもまた、轟音の中燃える三台の扇風機像がまるで、地獄の業火のように回転していた(なぜか、毘沙門天か、ヒンドゥーのシヴァ神を連想した)。 実際、音はアピチャッポン芸術の根幹のひとつである。「トロピカル・マラディ」の森の(自然界の音の)うるささは、熱帯の村落に住んだものは誰でも知っている。水田など、夜間は蛙の鳴き声がうるさくて寝られないのである。また「光りの墓」の中盤、町全体が眠り込む美しいシーンは、よく聞くと扇風機のような音がベースに流れている、と爆音映画祭にでた知人から聞いた。この音はまるでワーグナーのライトモチーフのように、いろいろな場面で顔をだすが、フィーバールームでは豪雨系の爆音である。