現在六本木Zeppブルーシアターで上演されている、西田シャトナー作、演出『破壊ランナー』は90年代演劇界の革命的傑作の再演である。初演は1993年らしいが、始めて見たのは1995年版で、場所は新宿シアタートップス。なぜか後ろの席に野田秀樹が外人と観劇していたのには驚いた。それまで多少なりとも小劇場系はそこそこ見ていたのだが(特にイギリス在住中は向うでおびただしい量のお芝居を見た)、惑星ピスタチオ全盛期の破壊ランナーは、やはり演劇は芸術の王様か、といいたくなるぐらいの衝撃作であった。時代は2700年代、話は超音速走行が可能になった時代に、そのトップを走る豹二郎ダイアモンドとそれを取り巻く有象無象の群像劇、という感じだか、オープニングからいきなり度肝を抜かれる。何しろ一群の役者が狭い舞台(トップス)を駆け巡るのだが、まるでカメラアングルが右へ左へと動くように、一群の走者が縦横微塵に動きまわるのである。さらにホントに超音速で走っていると言わんばかりの効果に唖然とする一方、惑星ピスタチオ(というか腹筋善之介)のパワーマイム(複雑な情景を言葉でしゃべり倒す)全開で、最後は傷ついた主人公が最後の挑戦をする、という感じで劇的に盛り上がって終わる。文字通り、あっけにとられ、かつ深く余韻に残る2時間という感じであった。
こうした印象を長年持っていたので、ほとんど20年ぶりに再演を見に行くと決めたときは、多少の不安がないわけでもなかった。劇場も大きくなったし、劇団もことなる(一作ごとの招集のようだ)。実際ちょっと出だしも異なっていたが、本編が始まるとそうした不安は一掃された。テクノロジの進歩は恐ろしい。光り、音の効果はあきらかにパワーアップして、まさに超音速とはこんな感じか、と体感する。また見ているうちに、ライバルの雷電やキャディラックとか、豹二郎ダイアモンドを脅かす連中のことも思い出した。さすがに20年もたつと細部は忘れている。
パワーマイムや、あるいはピスタチオ名物掛け合い漫才(もともと神戸出身の団体であり、佐々木蔵之介とか昔はノリノリでやっていたのである)はやや影を潜めたが、実は音速走行の限界(1.71音速)を超えて挑戦するというテーマそのものが、非常に普遍的なところがあるので、そうした派手なSF仕立ての裏に、ずっしりと骨太の印象が残るのである。傑作といわれるゆえんだろう。元ピスタチオの保村大和が後半提督役で出ていたのは、感無量であった。
こうした印象を長年持っていたので、ほとんど20年ぶりに再演を見に行くと決めたときは、多少の不安がないわけでもなかった。劇場も大きくなったし、劇団もことなる(一作ごとの招集のようだ)。実際ちょっと出だしも異なっていたが、本編が始まるとそうした不安は一掃された。テクノロジの進歩は恐ろしい。光り、音の効果はあきらかにパワーアップして、まさに超音速とはこんな感じか、と体感する。また見ているうちに、ライバルの雷電やキャディラックとか、豹二郎ダイアモンドを脅かす連中のことも思い出した。さすがに20年もたつと細部は忘れている。
パワーマイムや、あるいはピスタチオ名物掛け合い漫才(もともと神戸出身の団体であり、佐々木蔵之介とか昔はノリノリでやっていたのである)はやや影を潜めたが、実は音速走行の限界(1.71音速)を超えて挑戦するというテーマそのものが、非常に普遍的なところがあるので、そうした派手なSF仕立ての裏に、ずっしりと骨太の印象が残るのである。傑作といわれるゆえんだろう。元ピスタチオの保村大和が後半提督役で出ていたのは、感無量であった。